抗凝固薬 DOACの違いと特徴

医薬品

直接経口抗凝固薬(DOAC)に分類されるダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンの4つの薬剤ですが一括りにされていて違いなどが全然分からないという方もいるのではないでしょうか?(以前は私もそうでした)

以前はこれら薬剤も新薬に分類されていたため新規経口抗凝固薬(NOAC)と呼ばれていましたが現在はDOACと呼ばれるのが一般的になっています。

循環器領域でDOACはよく処方されるため違いや注意点をおさえて処方監査などに役立てましょう!

概要

DOACとよく比較されるのがワルファリンです。

ワルファリンはビタミンKが含まれる薬剤、食品と一緒に摂取すると作用が減弱したり、PT-INRを用いての用量コントロールが難しい場合があるなど患者さんによっては使いにくい場面がありました。

それに対してDOACは主に腎機能により用量を決定します。

ビタミンKなど食品による作用減弱などは特に知られていないので使いやすさの向上が見られます。

作用点の違い

ワルファリンとDOACの中でもダビガトランその他で作用点が違います。

ワルファリンは血液凝固カスケード内のビタミンKを阻害することでカスケードを止めフィブリン血栓生成阻害作用を示します。(正確にはビタミンKエポキシド還元酵素を阻害します)

DOACのうちダビガトランは直接トロンビンを阻害することで血栓生成抑制作用を示します。

その他DOACは直接Xa因子を阻害することで血栓の生成を抑制します。

DOAC ワルファリン
トロンビン阻害 Xa阻害

上図を見るとワルファリン以外はビタミンKに関係ないことがわかります。

適応の違い

DOACと一括りに言っても適応に少し違いがあります。

適応ダビガトラン
(プラザキサ)
リバーロキサバン
(イグザレルト)
アピキサバン
(エリキュース)
エドキサバン
(リクシアナ)
非弁膜症性心房細動患者における
虚血性脳卒中及び
全身性塞栓症の発症抑制
静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び
肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
下肢整形外科手術施行患者における
静脈血栓塞栓症の発症抑制

DOACすべてに非弁膜症性心房細動に適応があります。

非弁膜症性というのは弁置換などを行っていないということで弁置換を行っている患者さんの心房細動による抗凝固療法はワルファリンなどになってしまいます。

用法用量の違い

適応ダビガトラン
(プラザキサ)
リバーロキサバン
(イグザレルト)
アピキサバン
(エリキュース)
エドキサバン
(リクシアナ)
非弁膜症性心房細動患者における
虚血性脳卒中及び
全身性塞栓症の発症抑制
1回150㎎
1日2回
1回15㎎
1日1回
食後
1回5㎎
1日2回
1回60㎎
(60Kg以下30㎎)
1日1回
静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び
肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
1回15㎎
1日2回(3週後1回)
食後
1回10㎎
1日2回
(1週後1回5㎎)
1回60㎎
(60Kg以下30㎎)
1日1回
下肢整形外科手術施行患者における
静脈血栓塞栓症の発症抑制
1回30㎎
1日1回

DOACの中で食後と指定されているのはリバーロキサバンだけになります。

ダビガトラン(プラザキサ)について

DOACで唯一のイダルシズマブ(プリズバインド)という中和剤が存在するのが1つ大きな特徴です。

他のDOACと同様に腎機能で用量調節が必要です。(通常量 1回150㎎ 1日2回)

Ccrが30~50mL/minの患者さんでは1回110㎎ 1日2回へ減量が必要です。

さらにCcr30mL/min未満では禁忌になります。

 

他にも70歳以上などリスクのある人には上記と同様の減量を検討する必要があります。

 

さらにP-糖蛋白阻害作用がある薬剤は併用禁忌となってます。添付文書ではイトラコナゾール(経口)が併用禁忌になります。

 

プラザキサはカプセル製剤であり脱カプセルができません

さらに吸湿性が高いため開封、PTPより取り出したらすぐ服用するように説明を行う必要があります。

 

リバーロキサバン(イグザレルト)について

リバーロキサバンの特徴は日本人における臨床データが豊富な点です。

血液凝固能などは人種差などが影響する可能性が大いにあるため日本人のデータが豊富な点は使用する上でメリットとなります。

 

本剤の禁忌にHIVプロテアーゼ阻害剤アゾール系抗真菌薬などが併用禁忌となっているため併用薬のチェックはしっかり行うようにしましょう。

もう1つの特徴として細粒製剤が存在します。

他のDOACは錠剤、カプセルしか無いため嚥下能力が低下している患者さんなどでおおきなメリットとなります。

 

本剤も腎機能には中止、減量しなくてはいけません。

添付文書より

「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」ではCcr15ml/min未満

「静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制」ではCcr30mL/min未満では禁忌になっています。

非弁膜症性心房細動の適応ではプラザキサに比べ低い腎機能でも使用できるのはメリットだと思います。

  

腎機能による用量調節は下記の通りです。(通常量 1日1回 15㎎)

Ccr30~49mL/min 1日1回 10㎎

Ccr15~29mL/min 1日1回 10㎎(慎重に検討

Ccr15mL/min未満は禁忌になります。

イグザレルトIFでは粉砕した場合も変化がないため粉砕可能であると記載があります。

ちなみに現在ではOD錠も発売されているため適切な剤型を選択していきたいです。

アピキサバン(エリキュース)について

エリキュースはイグザレルトと同様1日2回服用しなくてはならない薬剤ですが、用量の決定が非常に明確に決められているという特徴があります。

エリキュースの投与前の確認事項 | エリキュース.jp
エリキュースの投与前の確認事項についてご紹介します。

上記のブリストルマイヤーズのサイトに用量決定のフローチャートが記載されています。

主にCcrが15mL/min未満だと禁忌になりますがそれ以上の心房細動患者では年齢、体重、血清クレアチニンを元に用量が決定されます。(※クレアチニンであることに注意してください)

 

粉砕についてはインタビューフォームより懸濁後4時間まで安定であるという記載と裸錠の状態で6か月安定であることから問題ないと考えられます。

エドキサバン(リクシアナ)について

DOACの中で唯一「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」に適応を持っています。

さらにリクシアナには60㎎、30㎎、15㎎の3規格がありそれぞれでさらに適応に違いがあるので注意が必要です。

リクシアナ15㎎30㎎60㎎
非弁膜症性心房細動患者における
虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
静脈血栓塞栓症
(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)
の治療及び再発抑制
下肢整形外科手術施行患者における
静脈血栓塞栓症の発症抑制

上記の通り60㎎には「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」への適応が無いので注意が必要です。

 

リクシアナは腎機能だけでなく体重にも注意が必要です。

用法
非弁膜症性心房細動患者における
虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
1日1回
60㎏以下:30㎎
60㎏超:60㎎
静脈血栓塞栓症
(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)
の治療及び再発抑制
1日1回
60㎏以下:30㎎
60㎏超:60㎎
下肢整形外科手術施行患者における
静脈血栓塞栓症の発症抑制
1日1回
30㎎

体重は60㎏が境目になっています。

心房細動、静脈血栓症に対する用法用量は同じのため腎機能による減量も同様の基準で行います。

CLCR 30~50mL/min 1日1回 30㎎

CLCR 15~30mL/min 1日1回 30㎎ (慎重に判断

 

下肢整形外科手術施行患者の場合は減量基準が少し変わります。

CLCR 30~50mL/min 1日1回 15㎎

 

本剤もP-糖蛋白阻害剤の影響を受けるため上記のような減量が必要になります。(禁忌ではありません)

 

 

リクシアナには薬価に少し問題があります。(2021/04現在)

リクシアナ 規格薬価
15㎎224.7円
30㎎411.3円
60㎎416.8円

30㎎と60㎎の薬価がほとんど同じという点です。

リクシアナは30㎎と60㎎に半錠割線が入っているため30㎎の処方が出た場合に60㎎を半分にした方が薬剤のコスト的には安く済みます。

院外の薬局などで半錠を進んで90日分など作る場合の手間などを考えると少し悩みたいポイントではありますね・・・

まとめ

DOACは抗凝固薬では高価なものに分類されるため薬剤の選択は慎重に行っていきたいです。

まずはDOACとワルファリンの作用点の違いを理解し、適応症によって使用できる薬剤が変わってくる場合があるので腎機能だけでなく既往歴、体重など様々な所見をみてよりよい薬剤選択を行ってください。

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