病院実習や病院へ就職した際に輸液類は謎の組み合わせに見えたのではないでしょうか?
内服薬などは添付文書を見れば何に使うかだいたい分かります。
しかし輸液類は添付文書を見ても適応に違いはありますが何故かピンと来ない場合が多いです。(私もそうでした・・・)
そんな病院薬剤師へオススメしたいのが「レジデントのためのこれだけ輸液」です。
理屈もしっかり説明してくれますが各項で「理屈抜きでこれだけは知っておいて」というのがまとまっているので非常に読みやすいです。
ちなみに本書はタイトルの通りレジデントのためなので医師向けに医師が執筆しています。
そのためどのような思考でこういうオーダーを打っているというマインドも学べるので非常に参考になります。
輸液製剤を場面ごとに選択ができるようになる
例えば救急搬送されてきた患者さんがいたとします。
その際にまず何か輸液(メイン)をつなげると仮定します。
その場合はスタンダードは細胞外液を80ml/時で投与を行います。
他にも高Na⁺血症の場合、腎不全の場合、食事が摂取できない場合にはどのような輸液を選択するかが分かります。
高Na⁺血症であればナトリウムを含む生理食塩水は使用できないですし腎不全の患者さんでは高カリウム血症のリスクが高いためカリウムを含まない輸液を選択しなくてはなりません。
食事が摂取できない場合は人が必要な電解質をバランスよく含んだ輸液を選択します。
上記の場合にどの輸液を選択するかを理解できれば薬剤の違いも自然と理解できるようになると思います。
輸液製剤の組成や分布の仕方が理解できるようになる
前項でナトリウムやカリウムの話が少しでてきましたが、電解質と水分の分布が分かるとさらに輸液を選択する理由が見えてきます。
まず水分ですが人体の60%が水分であるのは知っている方も多いと思います。
ではその60%の水分は細胞内、間質、血管にどれぐらい割合で分布しているでしょうか。答えは8:3:1で分布しています。(ヤサイで覚えましょう!)
さらに電解質ですが細胞の中にはカリウムが多く、細胞外にはナトリウムが多いというのをおさえましょう。
これらのベースを持って様々な輸液を投与していくとどのように分布するかが理解できるようになっています。
下記も参照してみてください。

酸塩基平衡の考え方が分かる
電子カルテを見ているとナトリウム、カリウムなどの電解質や腎機能などの数値を見がちですが体のpHも実は注意が必要です。
アシドーシス、アルカローシスという言葉を知っている方も多いと思いますがそれがどのように臨床で使用されているのかが分かりますが酸塩基平衡の計算の理屈を少し理解していないと難しいかもしれません。
まとめ
輸液を理解する上で体内の組成を理解することが重要だということが分かる1冊です。
その重要性を理解し、体液の組成がどのように変化したらどの輸液を使用していったらいいのかのベースとなる考え方が分かりやすくフルカラーで解説されている非常に読みやすい1冊になっています。
また、本書内でも度々かかれていますがあくまでベースなので各病症ごとのガイドラインほど詳しく記載されておらず必要に応じて参照するよう説明されています。
そのため輸液について右も左も分からない方向けであることは理解しておいて欲しいです。
輸液は病院薬剤師となれば非常に多くの種類と量に関わると思います。
私は本書を読んで輸液に対する理解が非常にしやすくなり、処方監査する場合に検査値の何を参照して適正か判断すればいいのかがより見えるようになりました。
輸液だけに限りませんが適正使用に向けて考える力をつけらるように頑張りましょう!
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